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違和感 [日々のくらしから 家族、社会、自問]

 安全保障関連法案を巡る国会審議がはじまっています。国論は大きく言うと二つにわかれているようです。一つは世界情勢の変化に伴い、集団的自衛権が必要である。さらに戦争の放棄、武力行使の禁止をうたった憲法の縛りから、時代に合った安全保障政策に変えていこうという考えと一方には国際紛争解決の手段としての国権の発動としての戦争、武力による威嚇又は武力の行使は永久にこれを放棄すると定めた憲法九条を守り、さらに他国との関係において一層憲法9条の考えを追求すべきという考えとの間の開きのように思われます。複雑でわかりにくいのは解釈改憲によって明らかな憲法九条との矛盾をむりやり推し進め事実上の改憲をしていることだと思います。

 安全保障関連法案の成立を必要とすると政府がいう世界情勢の変化について、日本の存立があやうくなるかもわからないような緊張や武力衝突の危険とよく考えないでスラスラと受け入れていいものなのか、どうも違和感をぬぐえません。その世界情勢をどうみるかということも大切だと思います。さらにもし、国家間、地域間の紛争や対立のようなものがあるときほど戦争や武力の行使を避け国と国、地域間の平和への努力が必要と思うのですがどうでしょうか。戦後の日本は戦争の放棄と交戦権の否定のもとでそういう努力もしてきたと思います。今議論されている安全保障関連法がそのような目的にそうものなのか国民一人一人が真剣に考えなければならないのだと思います。

 曽野綾子さんの「ある神話の背景」を読んだのはもう何十年か前でしたが、今もう一度読んでいます。沖縄の渡嘉敷、ケラマという島の名前を知ったのはこの本でしたが、読んだ時の衝撃が大きかったので、友人の何人かに感想をはなしたことがあります。友人の一人は曽野綾子さんの本を読むとイライラして頭が痛くなるといっていましたが、読みなおして確かに視点が独特だと思うところがあるように感じました。それはさておいて、本に書かれていることは衝撃的で重い内容です。曽野さんはそれぞれの立場の人の証言を選択しないで載せているので、島に最後まで残った人間魚雷を装備した海上特攻隊の赤松隊の状況や軍人の考え方、家族が家族を殺しあう悲劇の背景が見えてきます。この本を読むまで、いろいろな映画や本などで知ってはいましたが、本当の戦争の惨さ、非人間性、どんなに戦争が平静からほど遠い地点に人間を連れ去るものか、あらためて真実を知らされたと思いました。沖縄だけではありません。こういうことをこれからの世代に味あわせることはあってはならないと思います。大東亜戦争当時も今も沖縄が背負わされてきた過酷な歴史を思うと沖縄の人びとが世界で一番危険といわれる普天間基地の撤去を願い、さらに新しい基地の建設には県民がひとつになって反対する気持ちは当然だとわたしは思いました。

 不安感と違和感の中で、保坂正康氏の「本当に平和ということを考えるならば、戦争を知らなければ決して語れないだろう。だが日本という国は、あれだけの戦争を体験しながら、戦争を知ることに不勉強で、不熱心。日本社会全体が、戦争という歴史を忘却していくことが一つの進歩のように思いこんでいるような気さえする。国民的な性格の弱さ、狡さと言い換えてもよいかもしれない。」という言葉を重く、受け止めたいと思いました。


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majyo

今の政権ですが 評価がはっきり分かれるのも珍しい気がします。
私の場合ですと嫌悪感しかありませんが
高い方もいます。これは色々な方とお話しして否定はしませんが
信じられないです。
とにかく紛争解決の為の武力は使ってはならないと考えています。
戦争は、過去の書物その他でしか知りえませんが
負けたからではなく良い事は何も無かったように思います
今日の東京新聞に保坂正康さんのポツダム宣言否定は
歴史の否定という記事がありました。その通りだと思いました。

by majyo (2015-06-06 20:35) 

風船かずら

majyoさんコメントありがとうございます。私も阿部さんの危険性がおどろきです。私の軍隊、私が判断する、一人の犠牲も出さないという自信、議会で討論もまだされないときにアメリカで夏までに安全保障法案の成立を約束してくる、アメリカでの歓迎に誇りを感じる、こういう発言をする総理の支持率の高さにショックです。個人的な感想です。
国を問わず、戦争をしてでも儲けたい人、武力によって解決をいとわない人、そして戦争も場合によっては仕方がないと考える人がいるのですね。
by 風船かずら (2015-06-07 08:11) 

momotaro

戦争の非人間性、非日常性、反生命性・・・を絶えず考えて、そこからできるだけ距離をおく生き方、社会の営み、国の在り方を模索して行きたいものですね。よい記事をありがとうございました。
by momotaro (2015-06-07 09:38) 

風船かずら

momotaro様、危険性をあおり、軍事力を強める動きが一方で強いことに心が痛くなります。お互いが危険性を高めあうのを必要とする人たちがいるのでしょうか。
by 風船かずら (2015-06-09 10:06) 

風船かずら

AKI様、ナイス、訪問ありがとうございます。
by 風船かずら (2015-06-14 16:48) 

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